【コラム】日系企業の誘致作戦が本気すぎる「ハナム省」をご存知ですか? 〔2016年6月〕

外資系企業の誘致に積極的な地域はたくさんありますが、ベトナム国内で最も日本びいきなのは北部・ハナム省ではないでしょうか。

自動車関連、縫製、農業分野の日系企業誘致に燃えるハナム省の取り組みをご紹介します。

 

■ハナム省とは?

ノイバイ国際空港から70km、ハノイ市内から40km南下した紅河デルタ地方に位置する省で、人口は約85万人(2016年現在)、面積は862㎢で新潟県佐渡島とほぼ同じ大きさです。

 

■ハナム省の魅力

ビジネスの観点から見たハナム省の魅力は3つあります。

1つ目は、ハノイとハイフォン港へのアクセスが便利な点です。自動車部品や機械パーツを作る裾野産業は主に中小規模の製造メーカーが担っていますが、原材料の輸入や製品の輸出が必須なので、工場は空港や港へ近い方が便利です。ノイバイ空港・ハイフォン港共に100km以内のハナム省は、双方にアクセスが良い立地です。

2つ目は人件費の安さです。ハナム省の最低賃金は地域区分3に属し、2016年は270万VND(約1万4400円)です。ハノイに隣接していながら賃金レベルが4段階中下から2番目の安さに設定されています。

そして3つ目にして最大の魅力は、行政の柔軟で迅速な対応力です。JETROと協力し日系企業への窓口「ジャパンデスク」を開設、日本人コンサルタントを常駐させ進出を検討している企業や工業団地に入居している企業の相談を受け付けています。また、投資ライセンスの発給を3日以内と約束し、それを守っている事にも驚きます。

 

■ハナム省の日系企業誘致作戦

立地、人件費、開かれた行政の三拍子揃ったハナム省は、様々な国から進出の候補地として考えられていますが、当のハナム省は日系企業を多く取り込みたいと考えています。その証拠に日系企業に限った様々なプロモーションを行っています。

 

①特別優遇付きの”日系専用”工業団地を建設

南北を繋ぐ産業道路である国道1号線と、建設中のハノイ-ニンビン高速道路に挟まれる好位置にドンヴァン工業団地を3つ建設しました。最も新しいドンヴァン3は日系企業専用の工業団地としてオープンし、ガスの供給は東京ガスが担当しています。またドンヴァン3は首相認定を取得しており、税金面やリース期間で特別優遇が受けられる工業団地です。

 

②ハナム省知事が毎年来日しPRしている

過去5年間ハナム省知事(ハナム省共産党書記長)は毎年来日し、東京・大阪・福岡など複数都市を回り誘致セミナーを開催しています。日本人のコーディネーターが心配になる位タイトなスケジュールで予定を詰め込んでいるそうで、ビジネスマインドを持った知事だと評判です。

 

③賄賂を禁止

ハナム省では、税務署や警察が勝手に企業訪問する事を禁じています。決算の確認以外で役人は訪問できないという、思い切った政策を設けています。

 

④ベトナム人材の供給サポート

日系企業向け教育プログラムを持つ技能実習生送り出し機関と提携し、中小企業が進出する際、スタート時に活躍できる人材の供給をサポートしています。また現在、ナンカオ大学区という学園都市を建設中で、2020年には20万人の大学・短大・職業訓練生の受け入れを予定しています。

 

⑤ハイテク農業のモデルケースに

ハナム省では農地の大規模集約を行い、農業ビジネスにも力を入れています。日系企業への土地賃借を積極的に行っており、無償もしくは安価で長期契約を結ぶことが可能です。さらにITを駆使した農業のハイテク化にも意欲的です。

 

上記の様に日本へ熱烈アプローチを行っているハナム省ですが、実際の進出企業は韓国や台湾企業が多くなっているそうです。理由は、日本のODAやJETROの支援によりインフラ整備が急激に進んでいるためです。日系の中小企業・農場分野もリスクを恐れ過ぎず、海外展開にチャレンジしてほしいものです。

 

出  典:ハナム省人民委員会主催の投資促進セミナー

問合せ先:JETROベトナム、ハナム省ジャパンデスク

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