ASEAN+2の人件費調査〔2017年9月〕
日系企業の進出が多いASEAN9ヶ国(※)にインドと中国を足した11ヶ国のローカル人材の月給相場はどの位なのでしょうか。2016年の統計が発表されましたので、最新データを見ていきましょう。
※ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア、シンガポールの各首都
※前回のデータはこちらから確認できます⇒ASEAN11ヶ国の人件費調査〔2015年7月〕
調査対象は製造業のワーカー、エンジニア、管理職と非製造業のスタッフ、管理職の5職種です。
正社員で実務経験3年~10年以上の人材が受け取っている基本給の平均です。
出所:2016年度JETRO調査(カンボジアのみ2015年度データ)。通貨はUSD
①製造業ワーカー
実務経験3年以上の作業員はシンガポール、中国に続きタイ・マレーシア・インドネシアが
300ドル強で横並びになっています。ベトナムは200ドルを切っており、まだまだ人件費が安い印象を受けます。
2014年度の調査では101ドルでカンボジアが最下位でしたが、1年足らずで1.7倍と急上昇しています。
②製造業エンジニア
専門学校もしくは大卒以上で実務経験5年程度のエンジニアをシンガポールで採用するには、
2位の中国より3倍の給与が必要になります。シンガポールに続きASEAN内で給与相場が高いのは
マレーシアで、ほとんどの職種でタイを上回っています。
③製造業管理職
大卒以上で実務経験10年程度のマネージャークラスを1000ドル以下で採用できるのは、
ベトナム、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマーのみです。ベトナムとラオスに限り、非製造業より
製造業のマネージャークラスの給与が高く、まだまだモノづくりの人材が必要であることが読み取れます。
④非製造業スタッフ
商社やサービス業などの非製造業で実務経験3年以上のスタッフは、シンガポール以外1000ドル以下
となっています。
多くの国では500ドル以下が相場ですが、日本語が話せる人材は割高になります。
⑤非製造業管理職
大卒以上で実務経験10年程度のマネージャーは、製造業のマネージャーより給与相場が高めです。
特にミャンマーは突出してこのポジションの月給相場が高く、人材不足が読み取れます。
上記5職種の平均値により11ヶ国をランキングすると、1位は断トツでシンガポール、2位は中国、
3位はマレーシアでした。
その後はタイ、インド、フィリピン、インドネシア、ベトナム、カンボジア、マレーシア、ラオスとなります。
ベトナムは5職種平均596ドルで8位、ASEANの中でも人件費が安い部類に入ります。