お正月文化
いよいよ年の瀬も迫り忙しくなってきたところでしょうか。先日取引先の方と話をしていたのですが、
「ベトナムにいると年の瀬という実感がない」
と仰っていました。そうなんです。ベトナムではまだまだ普通の一日という感じで、雰囲気があるのはせいぜい31日の夜だけといった感じです。ご存知の方も多いと思いますがベトナムでは「tết(テト)」と呼ばれる旧正月文化でして、新暦の年末年始はそれほど重要ではありません。1月1日は一応祝日になっていますが、多くのベトナム人にとって普通の一日として過ごされています。
ところで日本人の間では「テト=旧正月」という意味合いで使われていますが、正確には「tết nguyên ̣đán(テト グエン ダン)」と呼ばれます。テトとは本来日本語の「節」を表し、中秋節では「tết trung thu(テト チュン トゥー)」となります。こういったことから、例えば中秋節まえにベトナム人から
「テトは何をして過ごしますか?」
と聞かれた場合、「テト=中秋節」を指していると理解する必要があります。他にもテトという言葉が入る日は色々ありますので、ベトナム人同士でも厳密に言い分けるときには「テト~」と言っています。因みにベトナム人にカタカナ発音で「テト」と言ってもまず通じませんのでご注意を。
お正月といえば、以前日本語を学習しているベトナム人から「お正月と元日は何が違いますか?」と質問されたことがありました。元日はまぎれもなく1月1日を指す言葉ですが、お正月については諸説あるようです。一般に三が日と呼ばれるようにこの期間がお正月と思われがちですが、実際は1月1日~31日までをお正月と呼ぶそうです。しかし地方によっては15日や20日までをお正月と呼んでいたり、現状はバラバラとのこと。とりあえず「元日=1月1日」という軸があれば、お正月の認識は曖昧でいいのかもしれません。
余談ですが私はベトナムの旧正月期間中に毎年帰省します。実家に帰ると私宛の年賀状が取り分けられていますが、その枚数が年々減少しています。ゼロになる年も近いと思いつつ、来年は何枚届くか地味に楽しみにしています。
それでは本年この辺りで失礼いたします。どうぞよいお年をお迎えくださいませ。