雇用の機会ロスについて

人材紹介会社を利用していただくお客様から時々いただく質問の中に、

 

「〇〇省出身のベトナム人って実際どうなんですか?」

 

というものがあります。この質問を見てピンときた方は恐らくベトナムの現地事情にそれなりに詳しい方かもしれません。ベトナムでは一部の方からいくつか特定の省出身の人に対する差別的な見方がされており、それが雇用や結婚といった人生を左右するようなところにも影響を及ぼしていることもあります。

 

現地で採用活動をする日本人の中には現場のベトナム人スタッフからその省出身のスタッフを雇用するのを止めるよう進言されるケースもあると聞きます。しかしそれらの省出身の人の中には優秀で何の問題もない人材がたくさんいることも事実。本日は同じようなケースに直面したときに是非参考にして頂きたいことを書きます。

(*本記事は偏った先入観を与えることを望みませんので、具体的な省名は伏せて便宜上、A省とさせていただきます)

 

・なぜA省出身の方が敬遠されるのか

「同郷の意識が強く他の省の文化を受け入れないという頑固さ」が主な理由のようです。なので他の省の人とのトラブルになりやすいとのこと。しかしこれについては過去の見方になりつつあることをお伝えします。かつて(といっても戦後ぐらい)省をまたいで人々が往来するようなことがあまりなかった時代、各省ごとのカラーは今よりももっと強かったと聞きます。しかし現代のように移動が頻繁になったことや、通信技術の発展により情報も手に入りやすい環境になった昨今、若者を中心に各省ごとのカラーは薄れてきているとのことです。(例えば、現在の大阪人はかつてほどのコテコテ感がないといえば分かってもらえますでしょうか?)

 

・親世代から言われて何となくそう思っている人も多い

では差別している人になぜ差別するのかと聞いたところで明確な回答を得られないケースも目立ちます。とりあえず「良くない」とか「信用できない」などのありきたりな言葉を言うだけでその根拠はありません。この先入観が色眼鏡になってしまっていることもあるようです。

 

 

では続いてこの記事をご覧の皆さんが同省出身の方を雇用する場合、どんなことに意識すべきかを紹介します。

 

①これまでの経歴の中で他の省を跨いでいるか

これは単純に外の世界を知っているかということになります。しかし日系企業に就職する場合、殆どの方は大学などで都市部に出てきていますし、そこで色々な省の方とも付き合っていますから問題のない場合が多いです。留学生や技能実習生などでも同様のことが言えます。

 

②現在抱えているスタッフにどの程度影響を与えそうか

残念ながら既に抱えているスタッフから出身省による反対を受けた場合、それがどの程度社内の雰囲気に影響しそうかは考える必要があります。たとえ理由が理不尽であったとしても社内の環境が壊れる可能性があるならば考えた方がいいでしょう。そのスタッフとしっかり話し合ってみるのもいいかと思います。

 

 

最低限上記2点を意識してもらえればあとは普通通りで問題がありません。本当はこのことに一切気を揉むことがないような環境にあることがベストなのですが、巡りあわせによってはそういった状況になることもありえます。将来少しづつこの傾向は薄れていくと予想しますが、今を生きている同省出身の若者のチャンスを外国人の我々が芽を摘まないようにしたいものです。

 

 

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