日系企業で働くか、ベトナム企業で働くか

ベトナム現地で働く日本人はそのほとんどが日系企業に属しているわけですが、稀にベトナムローカル企業に属している人たちもいます。最近では進出している日系企業相手に商売をしようと考えるローカル企業も増えてきましたので、弊社にもローカル企業から日本人採用の問い合わせをいただくことも珍しくなくなりました。さて、そんなローカル企業ですが本日はローカル企業で働く際の注意点をいくつかご紹介します。

①ちゃんと労働許可証を取得できそうか

日本人を採用した経験があり、過去に労働許可証を取得した実績のある企業ではそれほど心配いりませんが、初めて日本人を採用したいという会社には少し注意が必要です。ローカル企業では日本人を旅行ビザで働かせていることも多く(日本語センターなど含む)、労働許可証をしっかり取得しようという意識が低い企業はたくさんあります。これは万が一摘発されたとしても袖の下で何とでもなるという考えが根底にあるのでしょうが、最近ではその辺りの是正も活発になってきているので、どうなるかは分かりません。最悪不法滞在で国外へ強制退去という可能性もありえるわけです。そんな目にあった日本人は経歴として一生ものの傷になるわけですが、当の企業からしたら「どこぞの外国人が強制退去に遭った」程度のものです。

弊社でも求人をいただいたときにこの労働許可証の部分はしっかり確認しますが、ほぼ100%の確率で「ちゃんと取るから心配いらない」と言われます。しかし更に突っ込んで具体的にどういう流れで取得するかを聞くと、まともな返答が返ってくる確率は20%あるかないか。大概は答えられなかったり、しどろもどろで適当な回答をしたりというのが普通です。そういった会社とはあまり積極的に関わらないようにしています。

 

②雇用契約書がきちんとあるか

雇用契約書がないってどういうこと!?と思うかもしれませんが、実はローカル企業ではそんな企業もたくさんあります。あまり規模が大きくない会社などでは寧ろそれが普通のような感覚だったりもします。そういった企業の場合、雇用契約書もないので悪い意味で企業側に好き勝手な扱いを受けることも十分考えられます。私が企業訪問する場合はそのサンプルがあるかどうかもチェックしますが、これもやはり「あとで作る」なんて言ってる会社はあまり信用できません。外国人を雇いたいということで、雇用契約書の「英語版(または日本語版)」を準備している企業はしっかり候補者と採用条件について話し合って入社を決める良識があるとも考えられるわけです。

 

③給与水準がその企業の経営状態に見合っているか

時々ビックリするような高額の給与水準を提示している企業もあります。もちろん興味を持ってもらうために高めの給与を敢えて提示しているという理由も考えられますが、他にも企業側の皮算用も含まれています。具体的に言いますと、雇う側は日本人を雇うとすぐに日系企業の顧客が増えると思い、経常利益も飛躍的に上がると短絡的に考えるのです。なのでその妄想の経常利益から新しく雇う日本人にはこれぐらいの給与で雇っても問題ないと考えます。しかし実際、日本人の営業マンが営業したといって、ローカル企業といきなり取引に応じるほどマーケットは甘くありません。勝手に見越した利益が思ったように上がらず、その日本人に規定の給与を支払うことができなくなり、給与減額または解雇という選択を迫られる可能性もあるわけです。目安として、日系企業の同じような職種より明らかに高い給与を提示しているところは注意が必要です。

 

 

弊社ではローカル企業に日本人を紹介する場合、事前に上記の部分がクリアになっているかを確認しています。誤解がないように言っておくと、決してローカル企業で働くことが良くないと言っているわけではありません。きちんとしたローカル企業で働けば、日本では経験できない貴重な経験をベトナムの日系企業で働くよりもできる可能性があるわけですから。

入社後に後悔しないために少しでも参考になれば幸いです。

 

 

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