他人の給料が気になる?
日本ではお金の話をするのはあまり好ましくないという習慣がありますが、この感覚をそのままベトナムに持っていくと色々面食らうことになります。
例えば日本の場合、他人はおろか身内でさえもその人の収入を詳しく聞くケースは少ないですが、ベトナム人同士ではそのようなやり取りもよくあります。友達が転職した際には転職先の給与の話などをするのは普通ですし、従業員同士でお互いの給与がツーカーであるのも周知の事実です。
そもそもどうして給与を聞こうとするのか?これまで色々な話を聞いた中で大よその理由がいくつか出てきたので紹介します。
①収入で相手の地位を推し量る
収入が高い人ほど社会的に立場が高い人と見られる傾向があります。個人事業主で年収が100万円の人と一般社員で年収が120万円の人では後者のほうが一目置かれるのだとか。現在でも個人商店などが多いベトナムの背景を窺えます。こういう事情もありますので成金などはあからさまにお金を持っているように振舞う人もいます。
②自分に見合った収入を得ているかを確認するため
同じ会社内であれば同じ仕事している場合、もしあからさまに違う給与額の人がいれば何かしらの不満の種になります。そういう意味で今の自分の仕事がちゃんと社内で適正に評価されているのかを互いにチャックしている要素もあるようです。また他社で同じような仕事をしている人の給料を把握することにより、自分のスペックに見合った収入を得ているのかの判断材料にもしていると聞きます。
③結婚相手としての判断基準
主に女性が男性を見るときです。まあ結婚相手として経済的な甲斐性があるか見るのは当然です。日本の女性の場合は勤め先の会社規模や平均値から大体推し量るものですが、ベトナムではストレートに聞いてくることが多いです。男も見栄を張って実際より盛って答える人もいます。(因みによく誤解されがちなのですが、収入が高くないとだめというわけではありません。あくまで一定レベルの生活が維持できるかが多くの女子の判断基準になります。)
④相手との距離感を測る
①とつながる部分がありますが、ベトナムでは収入が高い人と低い人で生活習慣や価値観が異なる人が多いです。付き合っていく中で相手の収入レベルを知りそれに応じた振舞いをすることは、ある意味良い人間関係を築く助けとなります。
⑤いざというときの助け合いのため
ベトナムでは良くも悪くもお金の貸し借りが多いです。同じような収入レベルの人同士ではお互いにそこで貸し借りをすることもよくあります。結婚式の費用でお金が足りないから友人に借りる、ということも驚くような話ではありません。あと金持ちがたかられるかというと特にそういうわけではありません。お金を持っている人にたかりにくるのは国民性ではなく、単にそういう性格の人と考えたほうがいいと言えます。
このように相手の給与を聞くというのはお互いの関わり方をクリアにするという要素が含まれていることが窺えます。ベトナム人同士でも脈絡もなく不躾に給与を聞いてくる人に対しては良くない印象を持ちます。一方ちゃんとした文脈の中で聞かれた場合はより関係性を発展させるための意味合いもあると言えます。
次週はベトナム人が拝金主義に走りやすい事情についてご紹介します。