拝金主義になりやすい社会背景

さて、先週はベトナム人が他人の給与を尋ねることについて書きましたが、今回はベトナム人が拝金主義になりやすい社会背景について書きます。

 

拝金主義:金銭を無上のものとして崇拝すること。 拝金主義者を揶揄する言葉として「守銭奴」であるとか、「金の亡者」などがある

『拝見主義―Wikipedia』より

 

日本では拝金主義者というと否定的な意味合いで使われることがほとんどで、日本人がベトナム人に対してこのフレーズを使う場合は、少しでも給与の高いところ見つけるとすぐに転職してしまう人だったり、日本人及び外国人に対してぼったくりを行おうとする悪徳業者、そのほか袖の下の要求が過剰な人に対して使われることが多いです。

悪徳業者や賄賂を要求するような輩を肯定するのは難しいですが、一般の人にとってお金が必要だと感じさせられる背景は色々あります。ここではその一部を紹介します。

・就職にお金が必要

ベトナム全ての企業がそういうわけではありませんが、一部の企業や役所などに入ろうとすると必要になることがあるようです。いわゆる口利き料というかたちになりますが、その額も場合によっては100万円以上にもなるらしいので結構な金額です。私もベトナムの友人から「お金がなかったら公務員にはなれない」という話を聞いたことがありましたが、当初は理解に苦しみました。

 

・医者にかかるお金

通常の治療費とは別に医者に対して直接支払うお金が必要になることもあります。あくまで謝礼金(お世話になりますという意味合いの金)という位置づけですが、これがある無しで治療の優先度が変わることもあるようですので馬鹿にできません。

 

・公的書類の申請、受取

役所で何かを申請する場合には手数料がかかります。これ自体は普通のことですが、その担当者に直接お金を渡すこともよくある話です。要は申請から受け取りまで早くスムーズにいくように便宜を図るという感じです。

 

他にも色々ありますが上記のような例から考えてもベトナム人にとって日常の中で現金がなければ困ることがたくさんあるわけです。実費以外に必要な現金をどれだけ持っているかというのがこの国では大切になります。外国人から見てこういった習慣を悪習と語ることは簡単ですが、その環境でずっと育ってきたベトナム人にとってはそういうものだという感覚もありますし、たとえそれについて反対の声を上げたところで、金銭を受け取る側は社会的に権力者であることが多いので水泡に帰してしまうのが現実です。

 

そんな状況を当然と考える若者が語る夢

 

「お金持ちになりたい」

 

ベトナム人の青年に夢を聞くとよく出るフレーズです。今の日本の若者に夢を聞いて「お金持ちになりたい」と答える人がどのぐらいいるでしょうか。日本では近年仕事に対して収入よりも好きな仕事をしたり、プライベートな時間をどれぐらい確保できるかを重視している若者が多いと聞きます。それ自体を特に否定する気持ちもありませんが、こういった考え方もそれなりの生活水準がある前提なのが窺えます。

なのでベトナムで現金がないために辛苦を舐めてきた経験があれば、「いつかお金持ちになって・・・」と考える人がでるのは当然のことかと思います。

 

ベトナム人と日本人で共同の経営者になると利益追求に関する経営スタンスで衝突することがありますが、両者の倫理観の違いや、根底の価値観についてどこまで共有できているのかという問題が原因にあるようです。

 

 

 

ブログ一覧へ