テト商戦は人材商戦

クリスマスを間近に控えて年の瀬も日本では意識し出す頃でしょうか。今年はベトナムのテト(旧正月)も少し早く、テトまで残すところ1か月強になりました。スーパーや臨時の出店などでテトギフトなどが売り出され、テト商戦が始まると共にベトナム人にも例年のテト浮かれが見え始めているところです。

 

さて、テトに向けて市場に出回る人材もまた盛んになります。今月に入ってからテト休み明けを見越して転職を相談するベトナム人が増えています。どこの企業でもテト明けには採用活動が忙しくなるものですが、抜けた人材と同じかそれ以上のスペックの人材を取れるかどうかは、半分は事前準備、半分は運次第と言えそうです。

 

人材獲得はそれこそ「ご縁があるか」ですので、運やタイミングに左右されるところも有ります。しかし希望の人材を獲得できる確率を高めることは事前準備の段階で可能です。これまで私が出会った担当者の方の中で、「採用活動が上手いな~」と思ったケースを紹介します。

 

・退職予定者の事前察知

辞めることを告げられる前から事前にそれを察知して募集活動を水面下で始める。察知方法としては本人の様子から推測するなどもありますが、他のベトナム人から何となくそういう話を耳にするというパターンが多いです。それを聞けるのはある程度信頼関係がないとできませんので、そういった関係をベトナム人スタッフと築けている日本人上司は色々な意味で強いです。

 

・面接から採用までのスピード感

基本的にほしいと思う人材は他の企業からも常時オファーを受けていると思ってください。採用までの期間が長くなるとどうしても他に行かれてしまう可能性は高まります。ベトナム法人側だけで決定権がある場合はスピード感で勝負ができますが、日本側に稟議を上げてとなると、どうしても時間がかかります。その場合は少なくとも面接の段階で事前にその旨を本人に伝えておくことは最低限必要かと思いますし、可能な限りでその時間を縮める努力ができれば理想です。

 

・面接に参加する人の選別

現地の代表者が日本人であれば面接も全て日本人だけで済ませるケースもあります。しかし募集している職種がベトナム人上司の下で働くなどであれば面接にそのベトナム人上司も参加してもらったほうがいいかと思います。求職者はトップである日本人がどんな人なのかは気になるものですが、自分の直属の上司も同じぐらい気になるものです。面接の段階でこの上司とはうまく働けそうだと思うことは企業を選ぶ際の重要なポイントです。入社前からその点をクリアにできるほど入社してもらえる可能性も高くなります。

面白いケースとして、懇意にいている取引先の担当者に面接に出てもらい、第3者としてのアドバイザー的な役割を果たしてもらったという会社がありました。自社だけでスタッフを判断するのではなく、あえて社外の人からの意見を求めるというのも画期的で面白いですね。

 

 

因みに「ベトナム人は給与が高いところがあるとすぐ転職する」というのはよく言われていることですが、最近必ずしもそうではなくなって来ているのかなという傾向があります。毎月数十名のベトナム人と面談をしますが、希望給与については現状維持が大半で、場合によっては多少下がっても構わないという人も増えています。下がってでも転職したいと考える人が増えているということは、仕事に対して必ずしもお金だけを求めているわけではないということが窺えます。特に職場での雰囲気を重視している求職者は多く、それを理由に退職している人もたくさんいます。もし退職者が多いなどの事態に見舞わられた際は給与について考えるだけではなく、職場の雰囲気について考えてみてもいいかもしれません。

 

 

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