普及する社内研修
日本で今の時期は新卒で入社した新入社員についての話題がよく挙がります。モンスター新入社員というような言われ方をされることもあるそうですが、旧態依然の古い体質の企業などでは逆に早い段階で新入社員に見切りをつけられるということも珍しくないようです。新入社員研修などでの出来事は話題に事欠きません。
ところ変わってベトナム。日本のようにほぼ同じタイミングで大学生が挙って就職活動、卒業後の4月から一斉入社という文化がこちらにはありません。なので同じ年齢でも仕事に就くタイミングは人に依りけりなわけですが、サービス業などを見ていると新人と思われる複数のスタッフにOJTで研修をしている場に遭遇することがあります。ある程度の人数を纏めて採用する場合、入社時期も同じになると思いますので、そこでまとめて研修をしていると思われます。
先日とある小売店で「研修中」の名札を付けたスタッフに接客を受けることがありました。慣れないしぐさで案内をしているのを見ると初々しさを感じます。横についている研修官も要所要所で教えながら指導していましたが、自分も新卒で入ったときのことを思い出します。
ベトナムにも新人を教育する制度はありますが、どちらかというとOJTが中心で担当の先輩が直接後輩の面倒を見るといったような形式が普通です。日本のように泊まり込みで合宿というような研修は普通の企業ではまずありません。日本のような合宿研修はベトナム人の感覚からすると、「現場にいないで一体何を学ぶのか?」といった疑問になるようです。座学で学べることも色々ありますが、日本の研修の場合はそれ以外の精神的な要素も多分にありますので、中々ベトナム人にとっては理解しがたいかもしれません。
最近ではローカル企業でも社内教育が注目されていまして、新人教育に限らず役職者の研修も興味を持たれています。会社勤めが一般的になり、これまで以上に組織としての統率が必要とされる現代において、役職者としての振る舞いやマネジメントが重視されるようになった結果と言えるでしょう。これまでは同族を主要ポジションに置いたり、あまり論理的とは言えない人事配置がよくありましたが、周りもそういうものだという形で疑問に感じることもありませんでした。しかし組織としてそれでは機能しないということが認識され始め、こういったやり方が今後通用しなくなるという兆しが出ていると思われます。