遅刻に対してどう向き合うか
ベトナム人をマネジメントする際に、どこまでベトナムの習慣に合わせるべきか?という点について頭を悩ませる人は結構いるものです。一般的なベトナム人は上司に対してそれほど反抗的な態度を取ることはないものですが、何か部下からそういった反応をされた場合やはっきりと反対意見を出された場合、「やり方が間違っているのだろうか?」と不安になることもあるかと思います。今回はよく相談される「遅刻」について、私見を交えながら紹介したいと思います。
・遅刻の観念
社会人で遅刻は絶対許されないと叩き込まれて働いている日本人からすると、平気で数分の遅刻をして出社してくるベトナム人に頭を悩ます機会があるものです。大半は渋滞を理由とするものですが、月に数日ならまだしもそれが普通になってくると考え物です。「これはベトナムだから仕方がないな」としてしまうマネージャーも多いようですが、ここを蔑ろにしてしまうと思わぬ形で弊害が起きてきます。
・「ベトナムだから仕方がない」がマネージャとして舐められることも
何となくベトナムの会社は遅刻しても問題がないと思われがちですが、実際はそうではありません。時間厳守を掲げて遅刻者に対し厳しく指導するベトナム人マネージャーは結構いるものです。ベトナムお決まりの罰金制度を採用している会社もありますし、ストレートに叱るということも珍しくありません。しかし社会人として遅刻してはいけないというよりかは、自分にとって嫌な事(罰金、叱責)があるかどうかで行動するベトナム人は多いので、結局遅刻をするかどうかはそのマネージャーや会社の規則に委ねられているのが現状です。「ベトナム人だから遅刻はするものだ」とスルーしてしまうと、「あのマネージャーはやりやすい」と変に解釈される危険性があるので注意が必要です。
・遅刻と仕事の相関性
ベトナム人と言っても遅刻しない人は当然います。規則や叱責などで押さえつけて遅刻をしない人と、何もしなくても遅刻をしない人の差は仕事の精度でも差が出るものです。日常的な要因(渋滞など)での遅刻は先を見越して行動することができますし、何より遅刻をすることは良くない事だと認識していますから、こういったことは仕事に対する姿勢にも関係してきます。
・日本の会社で働いているという自覚を持たせる
工業団地に入居している日系企業ではローカル企業と比べて挨拶や5Sなどを徹底させている会社は多いものです。これは現場で作業を行う安全や衛生面にも関わってくることなので大切なことですが、仕事に対する姿勢や日系企業で働いているという自覚を持たせることにも一役買っていると考えられます。日本の会社では遅刻はダメだという自覚は現場にいるマネージャー次第だと言えます。
外国人(ベトナム人)と一緒に働く際にはその国の文化や習慣を尊重する必要があります。一方で日本の会社で働く以上は日本の商習慣をスタッフ自身が自覚しておく必要もあるわけでして、それを理解できないのであれば残念ながらそのスタッフは日系企業で働く資質はないと判断してもいいかと思います。そこのバランスを上手く取れている会社は現地でも上手くやれていると言えるでしょう。