日系より給与が高いローカル企業、今後どうなる?
採用の際に給与をいくらにするか、というのはよく聞かれる質問ですが、その相場について少し気になる傾向が出ています。ベトナムの企業でも高い給与を出す会社が増えており、日系企業は給与が高いという話はベトナム人にとって過去の話になりつつあるようです。今回はいくつかの事例を交えてその点について話したいと思います。
事例1:職場の環境に不満があって転職を希望してみたものの
ベトナムの実習生派遣事業で働く女性。年齢は30歳程度で人事の仕事をしていて日本語も話せます。会社の人間関係の問題で転職を検討しているということで相談に来られました。現在は1500USDの給与を貰っているようですが、日系に就職すれば更に収入アップも見込めると考えているようです。
正直なところ、その人の経験、能力を考えると日系企業の場合800~1000USD辺りが相場でしたので、そのことをお伝えしました。すると今の給与がいかに恵まれているか、また日系だからといって今以上の給与の就職が簡単にできるわけではないということを理解して頂きました。
事例2:新卒でも高給取り?
ハノイ国家大学の日本語学科を卒業した新卒の女性。日本語が堪能ということでコミュニケーターとして採用されたそうですが、給与が1000USDという話です。これには驚きました。彼女の就職先はベトナムローカルのIT企業ですが、日系で新卒に1000USD出す会社はあるのでしょうか?恐らくないでしょう。この給与設定の事情が気になるところではありますが、ベトナム人に話すと「儲かっているIT企業なら全然あり得る」という返事があり唖然としました。
日系企業とローカル企業の給与に関する考え方
日本の会社の場合とにかく人材の長期定着を図る会社が多く、定期昇給なども考慮しながら給与の設定をします。会社の業績が良くても相場から大きく逸脱した給与を出す会社は少ないでしょう。最初の給与設定についてもとにかく相場を重視します。
一方ベトナムローカル企業の場合、業績が良ければその分給与設定を大きく引き上げますし、相場度外視の設定も珍しくありません。「高い給与を出す会社」というブランドも大事にしているような感じもあります。また人材の入れ替わりがある前提ですので、辞めればまた新しい人材を外から連れてくる、使えない人材は短期で去ってもらうというシビアな部分があります。日本人から見るいわゆる「外資系」というスタイルです。
また最近気になることとして、日本を相手に仕事をしているベトナムのIT企業は日本語人材についてかなりの給与を設定していることです。特に業績のいい会社では日系でも太刀打ちできない給与設定をしている会社も多いですし、こうなると日本語が堪能なIT人材を確保するのがより困難になることは容易に想像ができます。給与以外に日系で働くことの魅力が求められる時代に入っているように思われます。