帰国待ち実習生の話

日本国内に滞在している実習生や留学生で所定の期間を終えたにも関わらず、コロナの渡航規制の関係で帰国できないというベトナム人がよく取り上げられています。日本からベトナムへの便が限られていますので、現在はその順番待ちをしている状態のようです。今回は日本で立ち往生しているベトナム人から聞いた話を紹介します。

・帰国の予定から半年経った

本来であれば昨年の10月頃に帰国予定だった実習生ですが、現在に至るまで帰国の目途は立っていないようです。幸い実習の受け入れ先企業が実習の延長処理をしてくれたので、今のところ生活には特に困っていないと言っています。しかし同じ実習仲間では途中で仕事がなくなったりなどして失踪してしまった人も結構いるそうです。

 

・帰国の便の申請は大使館でするのだが

ベトナム大使館で帰国の便の申請をするそうですが、自分にその便に乗れるかどうかは抽選となっているようです。この「抽選」という言葉が厄介なようで、「順番待ち」ということではないと言っています。なので順番を待っていればいずれ帰ることができるというものではなく、結局何かしらの便宜を図らなければ飛行機には乗れないのだろうと話しています。

 

・ベトナムからはベトナム人が来る、でも日本からベトナム人は帰れない

日本とベトナムはビジネス関係者の入国を条件付きで認めていますが、新たな実習生も順次ベトナムから日本へ渡っています。しかし逆に本来帰るべき実習生が帰れていないという現状は改善されていません。ベトナム政府としては帰国者の数は入国後の隔離施設の収容許容数に照らし合わせながら調整しているということのようです。

 

・結局ベトナム人同士で助け合うことに

日本でベトナム人が苦境に立たされた場合、結局頼るのは日本にいるベトナム人ということになるようです。しかしこの頼る、助け合うというのが必ずしも日本において合法的なことであるとは限りません。元々日本で悪いことを企んで悪さをするベトナム人についてはすごく恥ずかしく感じると言ってますが、このコロナ禍でそういう道に踏み入れてしまった人については少し複雑な気分になると言っていました。

 

私が話を聞いていて興味深かったのは、実習生や留学生が日本で犯罪を犯したときの日本人の反応とベトナム人の反応についての指摘でした。本人は以下のように話しています。

 

「ベトナム人実習生などが日本で犯罪を犯して捕まったときに、日本人は外国人(ベトナム人)の犯罪という表面だけ見て話をします。「早く国に帰れ」とか「日本に来るな」とかですね。一方他のベトナム人実習生が見ると、どうしてもその犯罪を犯した人の経緯や背景が見えてしまうので、完全に否定する気持ちになれないんです。もちろん悪いことをしているので肯定してはいけないのですが、感情的な部分で同情心が出てしまいます。」

 

コロナで仕事を失い犯罪行為に走った日本人のニュースを見ますが、お金を儲けるための犯罪と生きるための犯罪を考えさせられる話でした。

 

 

ブログ一覧へ