ベトナム主要3都市の人件費調査〔2015年11月〕
在ベトナム日系企業でのベトナム人の人件費が、ハノイ・ホーチミン・ダナンの主要3都市では著しい違いがあるようです。日本貿易振興機構(JETRO)の2014年末調査で5つの職種の平均月給と、年間人件費(基本給与に諸手当、社会保障、残業代、賞与など含む企業側の負担総額)は下記の結果が出ました。
昨年の調査はこちらから⇒ベトナム主要3都市の人件費調査〔2014年8月〕
■主要3都市のベトナム人平均月給
ダナン | ハノイ | ホーチミン | ||
製造業 | ワーカー(一般工職) | 137 ドル (2,908,000ドン) | 173 ドル (3,670,000ドン) | 185 ドル(3,930,000ドン) |
エンジニア(中堅技術者) | 249 ドル (5,291,000 ドン) | 396 ドル (8,408,000 ドン) | 351 ドル (7,460,000 ドン) | |
中間管理職(課長クラス) | 485 ドル (10,311,000ドン) | 859 ドル (18,243,000 ドン) | 783 ドル (16,630,000 ドン) | |
非製造業 | スタッフ(一般職) | 291 ドル (6,177,000 ドン) | 441 ドル (9,372,000 ドン) | 477 ドル (10,127,000 ドン) |
マネージャー(課長クラス) | 797 ドル (16,929,000 ドン) | 1,048 ドル (22,267,000 ドン) | 1,202 ドル (25,547,000 ドン) |
上記の表によると、ほとんどの項目でホーチミンの平均月給が最も高く、次いでハノイ、ダナンとなりました。この傾向は昨年と変わっていませんが、各項目を細かく見ると人材の需要により変動がありました。
3年以上の勤務経験を持つ、製造業でのワーカーの月給を比較すると、ダナン137ドル、ハノイ173ドル、ホーチミン185ドルとなります。年間人件費に換算すると、ダナン2,557ドル、ハノイ2,959ドル、ホーチミン3,082ドルとなります。
(画像をクリックすると大きく表示されます。)
5年以上の勤務経験を持つ、製造業でのエンジニアの月給を比較すると、ダナン249ドル、ハノイ396ドル、ホーチミン351ドルとなります。年間人件費に換算すると、ダナン4,288ドル、ハノイ6,059ドル、ホーチミン5,608ドルとなります。ダナンの年間人件費は昨年より900ドル弱増えています。
図表2:製造業でのエンジニア平均月給(勤続5年以上)
(画像をクリックすると大きく表示されます。)
大卒で10年以上の勤務経験を持つ、製造業での中間管理職の月給を比較すると、ダナン485ドル、ハノイ859ドル、ホーチミン783ドルとなります。年間人件費に換算すると、ダナン8,901ドル、ハノイ14,785ドル、ホーチミン12,285ドルとなります。
年間人件費を昨年と比較すると、ダナンは1,500ドル、ハノイは1,000ドルの増加、ホーチミンは1,100ドルの減少でした。
図表3:製造業での管理職平均月給(大卒で勤続10年以上)
(画像をクリックすると大きく表示されます。)
非製造業の場合は、製造業よりも給与相場が高くなっていますが、昨年と比較すると月給は減少傾向にあるようです。3年以上の勤務経験を持つ、非製造業でのスタッフの月給を比較すると、ダナン291ドル、ハノイ441ドル、ホーチミン477ドルとなります。大卒で10年以上の勤務経験を持つマネージャーの月給は、ダナン7979ドル、ハノイ1,048ドル、ホーチミン1,202ドルとなります。
図表4:非製造業の平均月給
(画像をクリックすると大きく表示されます。)
ダナンの人口は100万人程度で、ハノイ、ホーチミンに比べ1/7程度となり、経済市場も大きくありません。よって人件費は他の2都市に比べて安くなっています。JETROの報告によると、2014年4月時点での日系企業の進出数はホーチミン679社、ハノイ・ハイフォンで555社ありますが、ダナンは65社です。ベトナム統計局の調査によると、2012年時点での就業率はハノイ69.7%、ホーチミン66.4%ですが、ダナンは50%未満との事です。しかし、急速に都市整備を進めるダナンは、安い人件費と誘致政策を売りに経済拡大が期待される都市です。